鍬ヶ崎の作家 吉田タキノ |
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1 光のように風のように 理論社 1962年 小説 医療ミスを扱う 中部日本放送でラジオドラマとして放送 2 はまべの歌 * 挿絵/福田庄助 理論社 1962年10月 少年少女長篇小説シリーズ 菊判・上製・172頁・380円 宮古の浜辺の子らを描く 読者を自然のなかに誘うような情感にあふれる 3 桃の木長者 * 挿絵/田島征三 理論社 1964年 名作版 日本の児童文学 戦後の悲しい傷にめげずに生きる現代っ子ケンイチが主人公 長篇小説 4 ふるさとの民話 理論社 1966年 民話 日本に古くから伝わる民話のユーモアと機知を 方言を使って伝えた作品を収録 5 山と川の接点 続・炎と血の証言 理論社 1966年 ドキュメンタリー 実際に起こった松山事件の記録 6 ざしきわらし 理論社 1970年 児童小説 ざしきわらしをモチーフに、少女が叔父の家で経験した 出来事とともに成長していくさまを描いた幻想的な作品 7 また来た万六 * 挿絵/高橋国利 偕成社 1972年 少年少女/現代創作民話全集3 A5判変形・150頁・箱入り上製 百数十年前に三陸地方で起きた弘化・嘉永の農民一揆と それを指導した万六じいさまの一生を描く 8 みだくなし長者 偕成社 1973年 創作民話 閉伊街道に伝わる民話を題材にした作品を収録 9 かかさん 本をよむべしね おかあさんものがたり 偕成社 1973年 児童小説 無学ながらも学問の大切さを知っていた母の思い出を描く 10 ネコと茶がまのふた * 挿絵/梶山孝明 小峰書店 1974年2月28日 小学生日本の民話14 菊判・230頁・1340円 岩手・宮城・福島に伝わる民話16篇を再話 11 なんだべなんだべ * 挿絵/金沢佑光 小学館 1976年7月20日 小学館の創作民話シリーズ4 200×160ミリ・44頁・上製 欲張りな和尚と利口な小僧のユーモアあふれる作品 12 に王とどっこい 小学館 1979年 創作民話 日本の民話のなかから有名な話を選び子供向けに書き直す 13 兄と妹たち * 挿絵/小林与志 小学館 1979年10月10日 小学館の創作児童文学シリーズ11 A5判・上製・144頁 著者の自伝的長篇小説 14 海のかあちゃん 少女の童話3年生 偕成社 1979年 児童小説 漁師の父を亡くした少女が強く生きていこうとする姿を描く 15 神歌とさかさいちょう 岩手県の民話 偕成社 1981年 創作民話 市の天然記念物「逆さいちょう」にまつわる民話を再現 16 お菊のあらし * 挿絵/梶山俊夫 あすなろ書房 1982年7月10日 あすなろ小学生文庫13 創作民話 菊判・64頁・上製 残忍な猟師に殺された蛇が猟師の娘として生まれ変わる話 17 日本むかしむかし * 挿絵/箕田源二郎 けやき書房 1982年8月 子ども世界の本 創作民話 A5判・168頁・上製・1200円 日本各地の民話を再現した25話を収録 18 ふるさとのむかしばなし 理論社 1982年 創作民話 津軽石川で鮭が捕れるようになったわけなど 伝説をもとにした創作民話を11話収録 19 ろばたの夜ばなし 理論社 1982年 創作民話 岩手県の民話や伝説をもとに創作した民話 20 裁かれるのはだれか <松山事件> けやき書房 1985年 小説 実際に起きた松山事件の記録小説 21 終わりの日に 小学館 1986年 小説 若い付き添い婦と結核患者の少年との交流を描く 22 にわとり長者(ふるさと むかしむかし) けやき書房 1991年 創作民話 新聞に連載された創作民話を収録 23 ねずみのすもう * 挿絵/しばはら・ち けやき書房 1991年3月20日 ふるさと むかしむかし1 創作民話 菊判・120頁・上製 新聞に連載された創作民話28話を収録 24 絵にかいたねこ 教育画劇 1992年 紙芝居 ネコの絵ばかり描いている男の子が 自分の書いたネコに命を救われる話 25 およめさんにばけたきつね 教育画劇 1993年 紙芝居 キツネと人間のだましあいを愉快に描く 26 明のワルツ 赤い羽根童話 中央共同募金会 1996年 児童小説 貧しいけれど音楽の才能にあふれた少年と 心優しい教師との交流を描く 27 むかでのおつかい 教育画劇 1997年 紙芝居 病気のイナゴのために医者を呼びにいくことになった ムカデの笑い話 28 いのししのすもう 教育画劇 1998年 紙芝居 お月見の日に芸のできないイノシシ兄弟が 芸のかわりに相撲をとってお月さまにほめられる話 29 消えた稲ばせ 岩手の童話 リブリオ出版 1999年 創作民話 えぞの大男がいたずらする稲ばせを追いかけて 村人が右往左往する姿をおもしろおかしく描く 30 サルとカニのもちつき 教育画劇 2002年 紙芝居 食い意地のはったサルとカニが 餅をとりあって巻き起こすゆかいな話 ■ 訃報 2008年4月15日付「毎日新聞」地方版【鬼山親芳記者】 吉田タキノさん 90歳 死去=児童文学作家 宮古市出身の児童文学作家で、「タキノおっぱ」と慕われた吉田タキノさんが1月23日、療養先の同市の病院で肺炎のため亡くなっていたことが分かった。 90歳だった。 吉田さんは1月22日、病院で食べた夕食を肺に詰まらせ呼吸困難に陥った。 翌23日午前11時半過ぎ、親類らにみとられて息を引き取った。 1917(大正6)年、当時の鍬ヶ崎町(現宮古市)の海産物加工業の家に生まれ、県立宮古高等女学校(現宮古高校)を卒業後に上京。 派出婦として働く。 戦後、「キューポラのある街」の著者、早船ちよの夫で児童文学者の井野川潔主宰の新作家協会に所属し小説を書く。 62年に理論社から小説「光のように風のように」と児童小説「はまべの歌」を出版。 特に宮古の浜っ子らを描いた「はまべの歌」では児童文学に方言を初めて取り入れ、作家としての地位を築いた。 死刑確定後に無罪となった松山事件(宮城県)の支援活動にも奔走したのは、幕末期の三閉伊一揆指導者の一人で曽祖父、切牛の弥五兵衛譲りの反骨精神によるものであろう。 著作は40冊以上を数える。 生涯独身を通し、埼玉県所沢市で教え子を指導。 04年5月に帰郷して宮古市山根町1の兄嫁家族と同居。 「あと10年は生きて宮古が舞台の児童小説をもっと書きたい」と記者に語っていた。 幼いころ、泳いだ蛸ノ浜を見渡す生家の墓地に葬られた。 |
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