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難読 on parade



吉田 仁


○小説のルビのなかには作家特有の用字、明らかな当て字などが見られる。
 一般的には許容されない場合もあるが、許容・非許容の線引きは難しい。
○これが難読? と思われるものも入っている。
 難読に基準はなく、人によって違うという点をご了承いただきたい。
○パソコン辞書に正字がない場合、やむをえず略字を使用した。
○パソコンに略字もない場合、
 【金+示+且】はばき *パソコンにこの字なし
 のように表記した。


■あ
北風 あい
敵娼 あいかた      *相方。遊郭で客の相手をする遊女
敵手 あいて
銅  あかがね
銅鉄 あかがね
皸 あかぎれ
顎 あぎと        *顎門とも書く
瞭(あき)らか
圷 あくつ        *苗字 
              2003年8月13日、マツモトキヨシ豊四季店のレジで
              この苗字の名札をつけた女の子を発見した。圷真理
欠 あくび        *一字でアクビと読む。
              欠伸と書かれることが多い。
阿輸迦王 アシュカおう アショカおう アソカおう
             *阿育王(アイクおう)と同じ
宛行(あてが)う     *“アテオコナう”とも読む
充行(あてが)う
荒家 あばらや      *荒屋・荒破家などとも書く

五十日 いか       *五十日(いか)の祝い
凧 いか いかのぼり   *紙鳶とも書く。ふつうにタコとも読む
寝穢(いぎたな)い
藺草 いぐさ       ⇒ 芯(とうしんぐさ)
埋(い)ける
伊弉冊尊 いざなみのみこと *伊弉冉尊・伊邪那美命とも書く
               イザナギノミコトは伊弉諾尊・伊邪那岐命と書き
               イザナキノミコトとも読む
五十集 いさば
虎杖 いたどり      *植物名
九 いちじく       *苗字。九の一字だけ・・・
今給黎 いまきいれ    *苗字
一口 いもあらい     *地名

鶏眼 うおのめ      *魚の目
彦波瀲武 盧鳥 茲鳥 草葺不合尊  ひこなぎさたけ うがや ひこあえずのみこと
                 *盧鳥で1字、茲鳥で1字。
                  パソコンで出ないため合字
蠕(うごめ)く      *ふつうは蠢く
泡沫 うたかた
転寝  うたたね      *“ごろね”とも読む
空者 うつけもの
虚者 うつけもの
産神 うぶがみ      *産土神(うぶすながみ)と同じ
熟寝 うまい       *熟睡、気持ちよい眠り
楳 うめ         *梅。楳図かずおという漫画家がいる
末筈 うらはず      *弓の上部 ⇔本筈・本弭(もとはず)

時魚 えつ        *恵津・斉魚などとも書く。ニシン目の海魚。
縁頬 えんがわ      *縁側のこと

御小人 おこびと
御高知(おたかち)衆
愛宕 おたぎ       *苗字・地名など
零落(おちぶ)れる
頤 おとがい
巻丹 おにゆり
鉄漿 おはぐろ      *“かね”とも読む
小林 おばやし      *地名ほか
誘(おび)き出す     *“誘出す”の誤植にあらず
喚(おめ)く
お寝(やす)み
屍骸 おろく       *六骸(ろくがい)のことか?
              六骸は人体を構成する六つの部分で、
              頭・胴・両手・両足。りくがい。

■か
妻 かかあ、かが     *普通は、嚊・嬶
託(かこ)つ       *“喞つ”とも書く
鰊 かど         *ニシンのこと、鯡とも書く
鯑 かずのこ       *数の子。鰊(かど)の子
筐 かたみ        *竹を編んでつくった籠 ⇒ 筐筥(きょうきょ)
互(かた)みに 
金上侍 かねあげざむらい
頭 かぶり
一尺八寸 かまつか    *苗字。鎌の柄(つか)の長さが一尺八寸だったことから
禿 かむろ、かぶろ    *「はげ」も禿と書く
掛絡 から        *掛落・掛羅とも書く
              禅僧が用いる小さな略式の袈裟で、首に掛ける。
              掛絡袈裟。
機関 からくり
落葉松 からまつ     *「らくようしょう」とも読む、唐松
花櫚 かりん       *マルメロ

聞説 きくならく     *“聞くところによると”の意。聞道も同じ。
聞道 きくならく
着込 きごみ       *鎖帷子のこと
鋒 きっさき
柵戸 きのへ
急須 きびしょ      *きゅうす
筐筥 きょうきょ     *竹を編んでつくった籠や箱。筐(かたみ)。
雪花菜 きらず      *卯の花、御殻のこと。“うのはな”“おから”とも読む

銜(くぐ)もる
摧(くだ)く       *肺肝を摧く=心を尽くして考える、たいへん苦心すること
功力 くぬぎ       *苗字
伍(くみ)する      *普通は、与(くみ)する、伍(ご)する
蟻(くろ)い
鉄 くろがね

外連味 けれんみ

神籠石 こうごいし
尻坐 こうざ       *尻を落として坐る。しゃがむ
痩(こ)ける
狡辛い こすからい
小半 こなから      *4分の1。二合半も同じ
二合半 こなから
顳〓 こめかみ      *〓はパソコンで出ない。需+頁
小身者 こもの
破落戸 ごろつき     *ならずもの
転寝  ごろね       *“うたたね”とも読む


■さ
倒(さか)さ
伶(さか)しい
簓 ささら

否(しから)ざる
扱(しご)く
凝(しこ)り
錣 しころ        *兜などの左右や後ろに垂れ下がっている部分。首を覆う
地沸 じにえ
凍(しば)れる
収(しま)う
這面 しゃっつら     *顔をののしっていう語。しゃつら
和人 シャモ       *シャモはアイヌ語で、原義は隣人
住人士 じゅうにんし   *郷士
夙夜 しゅくや      *朝早くから夜遅くまで。一日中。明け暮れ。
首 しるし        *打ち取った敵将の首(頭部)
首級 しるし
咳(しわぶ)く

清(すず)しい      *“スガしい”と読むのは間違い
蒸 すすむ        *名前。山崎蒸は新選組幹部

騒(ぞめ)き

■た
岱山 たいざん      *泰山・太山とも書く。中国・山東省の中央にある名山
箍 たが         *樽に箍を嵌める
高士 たかざむらい
小鳥遊 たかなし     *苗字。鷹がいないと小鳥が遊ぶから
胼胝 たこ
丞(たす)ける      *丞相は“しょうじょう”とも“じょうしょう”とも読む。
              中国で、天子を補佐して政務を処理した
鬣 たてがみ
閉(た)てる
掌 たなごころ
圭室 たまむら      *苗字。
              圭室諦成(たまむら・たいじょう)という歴史・宗教学者がいた
短銃 たんづつ

苣 ちしゃ        *“ちさ”とも読む。萵苣とも書く。サラダ菜
月読 つくよみ      *“つきよみ”とも読み、月夜見とも書く
地錦  つた        *蔦
夙(つと)に       *以前から。早くから。
雪沓 つまご       *爪籠・爪子
錘 つむ
紡錘 つむ

手下 てか
手段 てだて       *普通は、手立て
手練 てだれ

芯 とうしんぐさ     *灯心草、藺草(いぐさ)のこと
徳本(とくごう)峠    *長野県西部、安曇村の霞沢岳東にある
齢 とし
土堤 どて        *“どてい”とは読まない
斉(ととのえ)る
恍(とぼ)ける      *“惚ける”とも書く
漁(と)る        *“スナドる”とも

■な
泥シ亘 ないおん      *仏教用語。涅槃と同意。サンズイ+亘はパソコンになし
轅 ながえ
生半 なまなか      *生半可の間違いと受けとられやすい
破落戸 ならずもの    *ごろつき
垂(なんなん)とする

一 にのまえ       *苗字
接骨木 にわとこ     *植物名

吐(ぬ)かす

盗汗 ねあせ       *寝汗
臥(ねか)す
寝刃 ねたば
座(ねま)る

枕(のぞ)む       *高みから下を見る
湾(のた)れ
残(のこ)ん       *例:残んの雪

■は
南風 はえ
塋 はか         *墓と同じ意。塋域(えいいき)
接(は)ぐ
【金+示+且】 はばき  *パソコンにこの字なし
刃区 はまち
同胞 はらから
盤桓 ばんかん      *あちこち歩きまわること。徘徊すること

樋 ひ
昃(ひかげ)る      *昃(ひかげ)れば春水の心あともどり 星野立子
鹿尾菜 ひじき
坤 ひつじさる      *未申(ひつじさる)。方角の名で、未と申の間。南西
十二月三十一日 ひづめ  *苗字
一青 ひとと       *苗字・地名
告天子 ひばり      *叫天子、叫天雀とも。ふつうは雲雀

脹脛 ふくらはぎ
腓腸 ふくらはぎ
口 ふり         *刀の本数を数える語、振

削(へず)る

袤 ボウ         *南北の長さ。東西の長さを広(コウ)という。広袤
八月一日 ほずみ     *苗字
炎 ほむら
焔 ほむら
北郷 ほんごう      *地名・人名

■ま
槇皮 まいはだ
贋 まがい        *普通は、紛・紛い
間稽古 まげいこ
正児 まさる       *人名
              青木正児という中国文学者がいる。
              主著『華国風味』岩波文庫
左右良 まてら      *城の名称など
眦 まなじり
満俺 マンガン

魅(みい)る
水月 みずおち みぞおち *鳩尾
壬生浪 みぶろ      *壬生浪士の略、新選組

対(むか)い
躯 むくろ        *骸とも書く。躯は略字、身+區が正字

愛(めず)らしい
減(め)り込む
乙張 めりはり

殯 もがり        *遺体を安置すること。安置して行なう葬送の儀式
虎落 もがり       *竹を筋違いに組んだ柵
虎落笛 もがりぶえ    *冬に強い北風が柵や竹垣にあたって鳴る笛のような音
饗(もてな)す
本弭 もとはず      *弓の下部。本筈とも書く。 ⇔末筈(うらはず)
醪 もろみ        *「もそろ」「にごりざけ」とも読む
翻筋斗 もんどり

■や
寝(やす)む
柳筥 やないばこ     *「やなぎばこ」とも読む
              柳の細枝を編んだ蓋つきの箱。
              文房具や装身具などを入れる
野巫 やぶ        *野巫医者
東風 やませ       *ふつうは山背と書く
月見里 やまなし     *苗字。山がなくて月がよく見える里の意

逝(ゆ)いた
尤物 ゆうぶつ      *多くのなかで優れたもの。逸物。逸品
靫 ゆぎ         *矢を入れて背に負う容れ物。靱とも書く
趾 ゆび

洋金 ようがね
過足 よぎあし      *苗字
米 よね         *コメの雅称
蹌踉 よろけ
蹌踉(よろけ)る
弱日 よろび
弱法師 よろぼし よろぼうし
蹌踉(よろ)めき

■ら
落葉松 らくようしょう  *「からまつ」とも読む、唐松

蝋色鞘 ろいろざや    *蝋の正字がパソコンでは出ない
老頭児 ロートル     *中国語

■わ
四月一日 わたぬき    *苗字。4月1日に綿入れを脱ぐ衣替えの習慣から
叫(わめ)く  ⇒おめく
喚(わめ)く

■を ■ん ■the end


難読 on parade

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